先日、楡周平『デッド・オア・アライブ』光文社、2017を読みました。
本書は、世界での電気自動車(EV)の普及を予測し、日本国内向け軽自動車の生産を行ってきたイナズミ、世界屈指の自動車メーカーであり、燃料電池自動車(FCV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、PHV(プラグインハイブリッド)の開発、市場投入を実現したタカバ自動車工業、総合電機メーカーであったものの、利益の水増しの不正会計の不祥事の影響から急速に業績の悪化したコクデンの3社がそれぞれの自社の生き残りをかけて、事業戦略、製品開発を進める異業種競争の経済小説です。
本書はフィクションですが、この10年程度で考えても、自動車業界は大きく変動していると言えます。
トヨタ自動車が、次世代自動車として燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売したのは、2014年12月でした。
しかし、水素ステーションなどのインフラ整備の遅れや車両価格の高さなどもあり、また、世界各国で進む電気自動車(EV)シフトに押されているのが現状と言えます。
一方、既存の自動車サプライチェーンを維持、活用するためには、電気自動車(EV)シフトではなく、ガソリン車、ディーゼル車からハイブリッド電気自動車(HEV)、さらに燃料電池自動車(FCV)、PHV(プラグインハイブリッド)へシフトさせていくべきと思います。
本書でも、世界各国で進む電気自動車(EV)シフトにどのように対応するのか、大きな雇用をかかえる既存の自動車サプライチェーンをどうするのか、水素ステーションとEV充電スタンド・ステーションの二重投資をどうするのか、などが語られます。
自動車業界の大きな変動期とも言える中で、既存のサプライチェーンは強みというよりも弱みになるのではないかなどいろいろと考える素材が多く入っている経済小説と言えます。
スポンサーサイト
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
ミスドと堂島ロールのコラボ商品が販売されていたので買っちゃいました。
堂島ローナツとオランジュ・ド・ダブルクリームです。

HPで確認すると、2019年7月5日~9月上旬の期間限定販売で、販売終了間近での購入でした。
テーマ:スイーツ - ジャンル:グルメ
先日(2019年9月)、やば珈琲店の鉄板ナポリタンを食べました。
以前は名古屋の喫茶店でよく見かけた鉄板ナポリタンですが、最近は少なくなっているように思いますね。
鉄板の上に卵をひき、その上にケチャップ味のナポリタンが絡められています。
おいしくいただきました。

■やば珈琲店HP
https://central-hld.jp/yaba-coffee/
テーマ:名古屋のおいしいお店 - ジャンル:グルメ
投資家、京都大客員准教授の瀧本哲史氏が、2019年(令和元年)8月に亡くなられたそうです。
ご冥福をお祈りいたします。
瀧本氏とは面識はありませんが、投資家、京都大客員准教授として、若者向けの情報発信を積極的にされていたり、複数の仕事を通じて、今後の新しい働き方を実践されていたり、まだまだやりたいことがあったと思いますし、多くの方に期待されていたと思いますので、残念に思います。
瀧本氏の著書では、『僕は君たちに武器を配りたい』が印象に残っています。
瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』講談社、2011
著者は本書で、資本主義の世界で、稼ぐことができるのは次の6タイプであると述べています。
1.トレーダー…商品を遠くに運んで売ることができる人
2.エキスパート…自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人
3.マーケター…商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人
4.イノベーター…まったく新しい仕組みをイノベーションできる人
5.リーダー…自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人
6.インベスター(投資家)…投資家として市場に参加している人
しかし、コモディティ化が進む現在の社会では、会社から与えられた商品を販売している多くの営業マンが分類される「トレーダー」、ある時期に特定の専門知識を身に付けても、ニーズが社会変化に伴い消えると知識の必要性が一気に消滅してしまう「エキスパート」は生き残っていくことが難しくなると述べています。
また、「英語・IT・会計知識」の勉強は、あくまで「人に使われるための知識」であり、そのような「奴隷の勉強」に時間をかけず、人類が歩んできた歴史や、過去の叡智の結晶である哲学、芸術、文学、自然科学全般について幅広い分野の学問領域を横断的に学ぶことにより、「物事をさまざまな角度から批判的に考える能力」「問題を発見し解決する能力」「多様な人々とコミュニケーションする能力」「深い人格と優れた身体能力」を身に付け、自由人になるための「リベラル・アーツ(教養)」を学ぶべきと述べています。
「物事をさまざまな角度から批判的に考える能力」「問題を発見し解決する能力」「多様な人々とコミュニケーションする能力」は、どのような職種であっても必要な能力であると思いますし、社会を変革していく人材と言える「イノベーター」「リーダー」にとっても重要な能力であると思います。
新しい能力を習得するためには、相応の時間がかかりますが、大学時代にもっと時間をかけて習得すべきだったと後悔するのではなく、これからの時代は、年齢に関係なく、必要と思ったときに、時間を捻出して、新しい能力を習得していくことが重要だと思います。
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
先日(2019年8月)、あいちトリエンナーレの四間道・円頓寺地区を歩きました!
あいちトリエンナーレは、2010年から3年ごとに開催されている国際芸術祭です。
今回の主な会場は、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、名古屋市内(四間道・円頓寺地区)、豊田市(豊田市美術館及び豊田市駅周辺)です。
写真は、円頓寺商店街の駐車場から見ることができる壁画

あいちトリエンナーレの作品ではないのですが、四間道の家の屋根に祀られている屋根神さまです。


江戸時代に大火があり、防火のために道幅を4間(約7m)に広げたことから四間道と呼ばれており、屋根神さまも火除け厄除けのためのものだそうです。
あいちトリエンナーレは、「表現の不自由展・その後」で様々な議論と変な注目のされ方をしていますが、本来は3年に1回、現代芸術を楽しむためのイベントなのですけどね。
■あいちトリエンナーレHP
https://aichitriennale.jp/
テーマ:art・芸術・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術
先日、垣根涼介『信長の原理』角川書店、2018を読みました。
「信長の原理」とは、企業経営でよく言われる人材の「二・六・ニの法則」のことです。
組織の人材は、
「2割の優秀な人:組織を引っ張る人、仕事を創造している人」
「6割の普通な人:可もなく不可もない人、やるべき仕事をそつなくこなす人」
「2割の今一歩な人:組織に養ってもらっている人、他の人のフォローが必要な人」
に分かれる。
そして、「2割の優秀な人」だけを抜き出すと、全員が優秀な働きを続けるかというと、そうではなく、再び「二・六・ニの法則」に従って、優秀な人は2割となる。
また、「6割の普通な人」や「2割の今一歩な人」だけを抜き出すと、再び「二・六・ニの法則」に従って、優秀な人は2割、普通な人は6割、今一歩な人は2割となる。
本小説では、この「二・六・ニの法則」を「1:3:1」で考えることによって、織田信長は、自身の有力武将のうち、働きが鈍くなる者、織田信長を裏切る者が出てくることが説明できるのではないかと考え始めます。
一方で、織田信長に使える武将たちは、織田信長の勢いや魅力にみせられ配下になったものの、織田信長からの要求や織田信長の振る舞いに不安や恐れをいだくようになっていきます。
この織田信長から見た臣下の武将たちへの見方と臣下の武将たちから見た織田信長の振る舞いの相違が、最終的には明智光秀による
本能寺の変での裏切りへとつながっていきます。
明智光秀が謀反を起こした原因については、
明智光秀が天下を取りたかった野望説、
事前の計画はなく、織田信長が少数で本能寺に泊まっているという情報を得て、突発的、発作的に討ってしまった突発説、
織田信長に対する明智光秀の遺恨説、
朝廷の黒幕説ほか
公家の陰謀説、羽柴(豊臣)秀吉の陰謀説、徳川家康の陰謀説
など明智光秀の背後に黒幕がいたのではないかなど様々な観点からいくつかの歴史小説が書かれています。
しかし、本小説では、上記のいずれでもない理由(織田信長に対する明智光秀の遺恨説にやや近いか)で、謀反を起こすことになります。
歴史小説なのですが、企業経営にも通じる雰囲気のある小説です。
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
このブログでも何回か説明してきましたが、
生命保険(医療保険)に入る前に知っておいていただきたい制度として「
高額療養費制度」「
限度額適用認定証」があります。
「
高額療養費制度」とは、1か月間にかかった医療費の自己負担額を合算し、自己負担限度額を超えた額については保険者から払い戻される制度です。
70歳未満の場合は、所得区分によって次のように分かれています。
・区分ア(年収約1,160万円~):252,600円+(10割相当医療費-842,000円)×1%
※4回目からは多数該当140,100円
・区分イ(年収約770万円~約1,160万円):167,400円+(10割相当医療費-558,000円)×1%
※4回目からは多数該当93,000円
・区分ウ(年収約370万円~約770万円):80,100円+(10割相当医療費-267,000円)×1%
※4回目からは多数該当44,400円
・区分エ(~年収約370万円):57,600円
※4回目からは多数該当44,400円
・区分オ(住民税非課税):35,400円
※4回目からは多数該当24,600円
また、「
限度額適用認定証」は、事前に保険者から交付してもらい、医療機関に提示すれば窓口負担が、「
高額療養費制度」の自己負担限度額まで軽減される制度です。
「
高額療養費制度」は、一時的に医療費を立て替える必要がありますが、「
限度額適用認定証」は、一時的な立て替えも不要となります。
例えば、仮に10割相当医療費が、1か月で100万円かかったとしましょう。
多くの方は、自己負担額は3割ですので、窓口負担は30万円となります。
さらに、上記の「
高額療養費制度」の区分ウ(年収約370万円~約770万円)が適用されたとします。
80,100円+(10割相当医療費(1,000,000円)-267,000円)×1%=87,430円
したがって、後日、300,000円-87,430円=212,570円が保険者から払い戻されます。
入院時の食事代や入院個室の差額ベッド代などは高額療養費の算定から除かれるとしても、1か月で医療費が100万円(10割相当医療費)かかったとしても、
高額療養費制度の適用によって、87,430円の自己負担になることは知っておいた方がいいと思います。
「高額療養費制度」「
限度額適用認定証」を理解していただいた上で、生命保険(医療保険)に入るか否か、入るとした場合、どの程度の保障内容とするのか、どの程度の保険料を支払うかを検討された方がいいと思います。
ファイナンシャル・プランナー(FP)<ファイナンシャル・プランニング技能士>として、私も民間の生命保険は、あくまで公的保険の補完だと考えています。
医療費のうち個人が負担するのは、原則として3割であり、7割は公的医療保険で負担される、さらに、「高額療養費制度」があるため、ひと月あたりの自己負担額は上限が設けられている、ということを前提に支払う保険料と得られる保険金のコスト・リターンを検討することが重要です。
*保険料は、毎月の支払額だけでなく、総支払額を意識することが重要です。
また、自分の貯蓄が十分にある方は、民間の生命保険に保険料を払うよりも、その保険料を貯蓄に回した方がお金の自由度が高く有効だと思います。
テーマ:健康 - ジャンル:ヘルス・ダイエット
先日、ヒロミ、藤田晋『小休止のすすめ』SB新書、2019を読みました。
著者のヒロミは、本書でも書かれていますが、28歳でB21スペシャルを結成以来、約20年をタレントとして第一線で活躍したものの、40歳を迎える前に出演番組が次々に終わり、芸能界から一時消えてしまいます。
その後、本書の共著者でもあるサイバーエージェントの藤田晋氏らの起業家との出会いもあり、トレーニングスタジオ515を起業し、パーソナルトレーニングジムの経営を約10年経験し、2014年から再び芸能界に復帰し、司会者として活躍しています。
また、本書の共著者でもあるサイバーエージェントの藤田晋氏は、1998年に24歳でサイバーエージェントを起業し、2年後の2000年に当時史上最年少で東証マザーズに株式上場、2014年には東証一部上場している経営者です。
本書では、芸能界を小休止していたヒロミと経営者である藤田氏が、いくつかのテーマごとにお互い自分の考えを記載する形式になっています。
二人に共通するのは、「小休止」をうまく取り入れていることです。
藤田氏は、
「経営は長期戦だから、走り続けるために遊ぶ。仕事から意図的に目を逸らすために小休止する。」
「「ここだ!」というタイミングで最大限の集中力を発揮するため、エネルギーを貯めていく。現場から少しだけ距離を取り、客観的に状況を見極める。」
「仕事にすべてを捧げて私生活を犠牲にしても、私生活を充実させるために仕事から逃げても、どちらか片方では長くは続きません。大きな目標に向かっているからこそ、小休止が大切なのです。」
と「小休止」の大切さを述べています。
これまで、やらなければならない仕事について、単に対応するだけでなく、期待されている以上の成果が出せるように取り組んできました。
この積み重ねによって一定程度の成果や評価、信頼を得てきたと考えていますが、どうしてもオーバーワークとなり、それが体調にも影響を及ぼすことになるのではないかと考えています。
これまでの経験から、人並み以上に全力で仕事に取り組む期間は必要であり、自分の成長にとっても重要であると考えています。
一方で、ずっと全力で取り組むことができるわけはなく、その負の影響は、何らかの形で現れることになるのではないかとも考えています。
有限の人生において、「小休止」という言葉に逃げ込むのではなく、「小休止」を上手く活かして、大きな目標に向かって進むことが重要なのではないかと改めて考えました。
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
先日、
佐々木圭一『伝え方が9割』ダイヤモンド社、2013
佐々木圭一『伝え方が9割2』ダイヤモンド社、2015
を読みました。
著者は、自身の経験から、
「伝え方には技術があり、共通のルールがある」
「感動的なコトバは、つくることができる」
ことを発見し、本書を書いたと述べています。
詳細は、本書をお読みいただければと思いますが、
例えば、『「ノー」を「イエス」に変える3つのステップ』として、
1.自分の頭の中をそのままコトバにしない
2.相手の頭の中を想像する
3.相手のメリットと一致するお願いをつくる
を事例を踏まえて紹介しています。
その他に、
『「イエス」に変える7つの切り口』
『「強いコトバ」をつくる5つの技術(「伝え方が9割2」では3つの技術が追加され8つの技術)』
などが紹介されています。
いずれも、すぐに実践で役立ちそうな内容で、お薦めです。
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
先日、清水真人『消費税 政と官との「十年戦争」』新潮社、2013を読みました。
本書は、2004年(平成17年)の小泉純一郎首相から福田康夫首相、麻生太郎首相、鳩山由紀夫首相、菅直人首相、2012年(平成24年)の野田佳彦首相までの約10年間の消費税の増税にかかる政治と財務省を始めとした官庁との議論の経緯をまとめた書籍です。
消費税は、1989年(平成元年)4月に竹下内閣の際に税率3%で導入されました。
その後、1997年(平成9年)4月に橋本龍太郎内閣の際に3%から5%に引き上げられました。
消費税の導入時には、消費税が導入されると、税率を上げることは比較的容易で、政府与党の意向ですぐに税率が上げられるような主張もあったように記憶していますが、実際の消費税の増税は、世論を意識して、国の財政再建、社会保障の安定財源の確保、社会保障の機能強化と様々な理由をかかげながらも実現が難しかったことが分かります。
2011年(平成23年)12月に当時の民主党の野田佳彦首相のもとで2014年(平成26年)4月1日に8%、2015年(平成27年)10月1日に10%に増税することが取りまとめられました。
しかし、その後の自民党の安部晋三首相のもとでは、2014年(平成26年)4月1日に8%に増税されたものの、2014年(平成26年)11月に、2015年(平成27年)10月1日実施予定の消費税再増税の1年半先送りを表明し、さらに、2016年(平成28年)6月に、2017年(平成29年)4月1日実施予定の消費税再増税の2年半の再延期<2019年10月1日実施>を表明しています。
日本の平成30年度の一般会計予算は、約98兆円です。
歳出の23.8%(23兆円)は国債費(国債の債務償還費と利払費)であり、年金や介護・医療などの社会保障関係費33.7%(33兆円)、地方の財政力の差の調整や財源の保障のための地方交付税交付金等15.9%(15.5兆円)となっており、国債費、社会保障関係費、地方交付税交付金等で歳出の7割以上が占められています。
一方、歳入については、税収でまかなわれているのは約6割(59.1兆円)で、34.5%(33.7兆円)は公債金(将来世代の負担となる借金)となっています。
この歳入と歳出のバランスの悪さと公債金による穴埋めによって、公債残高は、平成30年度末で約883兆円(税収の15年分)となっており、国の財政再建の必要性は明らかです。
また、今後の高齢化による社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、現役世代に負担が集中することも明らかです。
高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいことも明らかではないかと思います。
また、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少しますが、消費税は税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えることからも、社会保障の財源にふさわしいと言えます。
それでも、政府は、世論を意識して、消費税の増税が困難であったこと、消費税の増税を実現した首相は長く続かなかったことは、歴史の事実と言えます。
「国家が行う財政活動は国会で審議、議決されること(国会議決主義、国会中心主義)」
「国家が課する税は法律によらねばならない(租税法律主義)」
は、民主主義の基本と言えます。
ただし、正しい情報に基づいた、将来を見据えた議論も必要ではないかということも本書を読んで改めて感じました。
テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌
| ホーム | 次のページ