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中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職21年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

消費税 政と官との「十年戦争」

先日、清水真人『消費税 政と官との「十年戦争」』新潮社、2013を読みました。

本書は、2004年(平成17年)の小泉純一郎首相から福田康夫首相、麻生太郎首相、鳩山由紀夫首相、菅直人首相、2012年(平成24年)の野田佳彦首相までの約10年間の消費税の増税にかかる政治と財務省を始めとした官庁との議論の経緯をまとめた書籍です。

消費税は、1989年(平成元年)4月に竹下内閣の際に税率3%で導入されました。
その後、1997年(平成9年)4月に橋本龍太郎内閣の際に3%から5%に引き上げられました。

消費税の導入時には、消費税が導入されると、税率を上げることは比較的容易で、政府与党の意向ですぐに税率が上げられるような主張もあったように記憶していますが、実際の消費税の増税は、世論を意識して、国の財政再建、社会保障の安定財源の確保、社会保障の機能強化と様々な理由をかかげながらも実現が難しかったことが分かります。

2011年(平成23年)12月に当時の民主党の野田佳彦首相のもとで2014年(平成26年)4月1日に8%、2015年(平成27年)10月1日に10%に増税することが取りまとめられました。
しかし、その後の自民党の安部晋三首相のもとでは、2014年(平成26年)4月1日に8%に増税されたものの、2014年(平成26年)11月に、2015年(平成27年)10月1日実施予定の消費税再増税の1年半先送りを表明し、さらに、2016年(平成28年)6月に、2017年(平成29年)4月1日実施予定の消費税再増税の2年半の再延期<2019年10月1日実施>を表明しています。

日本の平成30年度の一般会計予算は、約98兆円です。
歳出の23.8%(23兆円)は国債費(国債の債務償還費と利払費)であり、年金や介護・医療などの社会保障関係費33.7%(33兆円)、地方の財政力の差の調整や財源の保障のための地方交付税交付金等15.9%(15.5兆円)となっており、国債費、社会保障関係費、地方交付税交付金等で歳出の7割以上が占められています。
一方、歳入については、税収でまかなわれているのは約6割(59.1兆円)で、34.5%(33.7兆円)は公債金(将来世代の負担となる借金)となっています。
この歳入と歳出のバランスの悪さと公債金による穴埋めによって、公債残高は、平成30年度末で約883兆円(税収の15年分)となっており、国の財政再建の必要性は明らかです。

また、今後の高齢化による社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、現役世代に負担が集中することも明らかです。
高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいことも明らかではないかと思います。
また、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少しますが、消費税は税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えることからも、社会保障の財源にふさわしいと言えます。

それでも、政府は、世論を意識して、消費税の増税が困難であったこと、消費税の増税を実現した首相は長く続かなかったことは、歴史の事実と言えます。

「国家が行う財政活動は国会で審議、議決されること(国会議決主義、国会中心主義)」
「国家が課する税は法律によらねばならない(租税法律主義)」
は、民主主義の基本と言えます。
ただし、正しい情報に基づいた、将来を見据えた議論も必要ではないかということも本書を読んで改めて感じました。

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がんが自然に治る生き方&幸せはガンがくれた(ケリー・ターナー氏&川竹文夫氏書籍)

先日、
ケリー・ターナー著、長田美穂訳『がんが自然に治る生き方』プレジデント社、2014
川竹文夫『幸せはガンがくれた』創元社、1995
を読みました。

現在のガンの治療は、外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)が中心となっています。
この二つの書籍でも、外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)を否定しているわけではありません。

しかし、この二つの書籍を読むと、人間の自然治癒力によって、ガンを治した(劇的な寛解に至った)事例が多くあることがわかります。
さらに、『がんが自然に治る生き方』では、1000件を超える劇的な寛解事例の分析と100人以上のインタビューから明らかになったガン治療を目指して実行した9つの実践項目の仮説を提示しています。
・抜本的に食事を変える
・治療法は自分で決める
・直感に従う
・ハーブやサプリメントの力を借りる
・抑圧された感情を解き放つ
・より前向きに生きる
・周囲の人の支えを受け入れる
・自分の魂と深くつながる
・「どうしても生きたい理由」を持つ

また、『幸せはガンがくれた』の次のような主旨の記述は納得感がありました。
・外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)は、ガン細胞を治療するもので、ガンの原因を取り除くものではない。
・原因に手をつけていない以上、再発を完全に防止する手立てはない。
・再発を防ぐ(本当にガンを治す)には、これまでの自分自身にかかわる何かを改める必要がある。

人間の自然治癒力によってガンが治ったのは例外であり説明できないというご意見もあると思います。
しかし、そういった事例があるのであれば、データ分析や臨床試験によって議論を深めていくことも重要だと考えますし、現代医療の治療法と組み合わせることで、より良い医療の発展につながるのではないかとも思います。

自分や身近な方がガンになってしまったとき、様々な情報を集めて、どうすべきかを検討すると思います。
その情報収集、検討の素材として、この二つの書籍を加えていただくことは、有益だと思います。

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次の震災について本当のことを話してみよう。(福和伸夫氏)

先日、福和伸夫『次の震災について本当のことを話してみよう。』時事通信社、2017を読みました。

著者の福和伸夫氏は、名古屋大学教授・減災連携研究センター長、なごや強靭化共創センター長、工学博士、日本地震工学会会長、中央防災会議作業部会委員などを歴任されている防災・減災の専門家・第一人者と言えます。

東京や東海(名古屋)、四国、九州などで、巨大地震は、歴史上、一定の頻度で発生しています。

本書でも述べられているように、南海トラフ地震は、「いつか来るかもしれない」のではなく、「必ず来る」のです。

本書では、身近な事例や映画「シン・ゴジラ」、歴史、地名などを通じて、地震の被害や防災・減災についてわかりやすく説明されています。

著者は、企業は事業継続計画(BCP)を作成していると言いますが、十分な計画ではないことが多く、外部からの電気、通信、ガス、水などが途絶えることを想定していないと警鐘を鳴らします。
防災については、「ホンネ」で語らなければいけない。ホンネがホンキの対策を生む。多くの人が「我がこと」として防災を考えなければいけないと主張しています。


「全国地震動予測地図2018年版」によると、南海トラフで発生する地震は、M8~M9クラスが今後30年以内に70%~80%の確率で発生するとされています。
また、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」は、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側および糸魚川静岡構造線断層帯の周辺地域などの確率が高いとされており、日本の太平洋側の主要都市の多くが含まれます。

■政府 地震調査研究推進本部HP
https://www.jishin.go.jp/


南海トラフ地震は、私が子供の頃(1980年代)には東海地震と言われ、近いうちに起こると言われて、数十年が経過しています。
巨大地震の周期としての数十年は誤差の範囲と思われますが、自分の生きている時間の中では、昔から言われていることの一つになってしまっているとも思います。
また、南海トラフ地震がM8~M9クラスであるため、防災・減災と言っても、なるようにしかならない、起こったときに考えるという思考に陥りがちです。
確かに「今後30年以内に70%~80%の確率で発生する」という警鐘は、確率が高いのか低いのか、身近に感じられず、絶えず備えることは杞憂なのかもしれません。
それでも、地震だけではない近年の災害の発生は、防災・減災、事業継続計画(BCP)の重要性を感じさせます。

■内閣府 防災情報のページ
http://www.bousai.go.jp/

■TEAM防災ジャパンHP
https://bosaijapan.jp/

■名古屋大学減災連携研究センターHP
http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/

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首都崩壊(高嶋哲夫氏小説)

先日、高嶋哲夫『首都崩壊』幻冬舎文庫、2015を読みました。

高嶋氏は、『M8』『TSUNAMI 津波』『ジェミニの方舟 東京大洪水』『富士山噴火』などの危機管理小説の著者です。

本書は、阪神・淡路大震災、東日本大震災のようなマグニチュード8クラスの巨大地震が首都である東京で起きることが予想され、直接の被害だけでなく、為替や株価への影響、そして、日本経済への壊滅的な影響が懸念される状況での日本政府が舞台となっています。

企業や地域、国のBCP(事業継続計画)だけでなく、首都機能移転、道州制の導入まで話は及びます。

「全国地震動予測地図2018年版」によると、南海トラフで発生する地震は、M8~M9クラスが今後30年以内に70%~80%の確率で発生するとされています。
また、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」は、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側および糸魚川静岡構造線断層帯の周辺地域などの確率が高いとされており、日本の太平洋側の主要都市の多くが含まれます。

■政府 地震調査研究推進本部HP
https://www.jishin.go.jp/

東京や東海(名古屋)、四国、九州などに巨大地震は、歴史上、一定の頻度で発生しています。

経験していない巨大地震を想像して備えることは、なかなか難しいと思いますが、危機管理小説を読むことで、何ができるかを考えるきっかけにできればと思います。





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日本人の9割に英語はいらない(成毛眞氏)&英語化は愚民化(施光恒氏)

先日、
成毛眞『日本人の9割に英語はいらない』祥伝社、2011
施光恒『英語化は愚民化』集英社新書、2015
を読みました。

成毛氏は、マイクロソフト日本法人の取締役も務めていた方です。
その成毛氏は、『日本人の9割に英語はいらない』で日本人で英語を本当に必要とする人は1割であり(海外在留者、外資系企業雇用者、ホテル・旅館など外国人向けのビジネス対応者)、残りの9割は勉強するだけムダであると主張しています。

また、英語の社内公用語、小学校からの英語必修化に否定的です。
英語というコミュニケーションの道具の使い方が得意な人が優秀なのではなく、話の中身の方が重要である。
日本人が日本語を話すように、英語圏に住んでいる人は英語を話す。
母国語がしっかりできていれば、何歳で学んでも外国語は習得できる。
外国語は早くから学習すれば身につくというわけではなく、何のために勉強するのかという目的が重要である。
したがって、英語はほかの科目より優先されるべき科目ではないというわけです。
また、20代、30代は仕事の基礎体力をつけなければならない時期であり、英語というコミュニケーションの道具の勉強に時間を取られるべきではないとも述べています。

国の文化や歴史を理解するのは、その国の言語を自分のものとしているからであり、人は言葉によって思考するのだから、その言葉がおぼつかないと、思考まで揺らいでしまうというわけです。


施氏は、『英語化は愚民化』でグローバル化に対応するための英語化政策の推進により、知的な活動を日本語で行ってきた中間層が没落し、格差が固定化することに警鐘を鳴らしています。

「グローバル化こそ歴史の必然であり進歩である」という見方は誤りであり、宗教改革以降の西欧の近代化の歴史は、ラテン語で読み書きする人々だけが独占していた普遍的な知を現地語に翻訳し、それぞれの地域に根づかせることで、多くの人々の社会参加が可能となり、近代化の活力が生じたことを説明しています。

そして、外国語の能力に優れた者が外来の知を積極的に学び、翻訳することの重要性は認めています。
明治期の日本においても、世界の最先端の知が日本語に翻訳されたために、国民一人ひとりが知的に成長し、高度な政治や経済の場にも参画することが可能となり、近代化に成功したというわけです。

日本人が母国語でない英語で、英語を母語とするアメリカなどの英語圏の人々と各分野で勝負したとしても、勝てる者はほとんどいない。
思考力の基礎になる教育・研究の過程を外国語で行うようになれば、大部分の組織や人々は、自分たちの潜在能力を十分に発揮できるまでには至らないというわけです。


成毛氏も施氏も、思考力の基礎になる教育を日本語で行うことの重要性を主張しており、大部分の日本人には、英語は不要であり、英語化による潜在能力を十分に発揮できない社会の到来に危機感を持っています。

私も同意見です。
私も仕事で英語が必要になる場面は増えており、英語の習得の必要性は感じていますが、日本人全体に英語がどれほど必要なのだろうかと思ってきました。
例えば、欧米に実質的なルールを決められているビジネス環境で勝負をするためには、確かに英語での対応が必要になるとは思っています。
しかし、母語ではない英語で、英語を母語とする英語圏の人との勝負は明らかに不利です。
欧米に実質的に決められているルールを変えるための戦略、日本でのビジネスは日本語を使うルール、言語による不平等がない国際経済、国際政治の実現など、対処療法ではない対応こそが必要なのではないかと思いました。




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