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中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職20年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

堺屋太一が見た戦後70年七色の日本

作家・経済評論家の堺屋太一氏が、2019年(平成31年)2月8日、多臓器不全のためお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。

堺屋氏とは面識はありませんが、堺屋氏の多くの著書を読み、多くの刺激と気づきをいただきました。

堺屋太一氏の80年間の自伝を通して戦後70年の日本を描いた書籍である
堺屋太一『堺屋太一が見た戦後70年七色の日本』朝日新聞出版、2015
をご紹介します。

堺屋氏は、自身を次の7つに分けて本書で説明しています。
1.太平洋戦争開戦、終戦、戦後の貧しかった日本を生きた少年時代
2.日米安全保障条約が締結され、所得倍増計画が策定された建築家を夢見る高校・浪人時代
3.通商産業省(現経済産業省)に18年間勤務した官僚時代
4.通商産業省時代に通商白書で「水平分業論」や日本万国博覧会(大阪万博)を発案、計画、実行したエコノミスト、イベント・プロデューサーとしての顔
5.『油断!』や『団塊の世代』などの予測小説を堺屋太一として出版した作家としての顔
6.日本万国博覧会(大阪万博)の発案のために石田三成を研究し、出版した歴史小説『巨いなる企て』などの歴史家としての顔
7.小渕恵三氏の要請で就任した経済企画庁長官としての政治家としての顔

上記の7つの顔を組み合わせて出版された書籍である
「団塊の世代」の呼称をはじめて使った11980年に刊行された『団塊の世代』を改版、加筆した『団塊の世代 新版』
規格大量生産の時代が終わり知恵の時代がはじまると提唱した『知価革命』
執筆時点から20数年後の日本を未来予測小説として示した『平成三十年』
1860年代の幕末維新の動乱、1940年代前半の太平洋戦争での敗北に続く、2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災を「第三の敗戦」と位置づけて、三度目の日本を創る道を示した『第三の敗戦』
などは、現在、改めて読み返しても、時代の方向性についての予測精度の高さは驚きます。

改めて、ご冥福をお祈りいたします。




 

 

テーマ:訃報 - ジャンル:ニュース

働かないオジサンの給料はなぜ高いのか(楠木新氏)

先日、楠木新『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』新潮新書、2014を読みました。

本書は、日本の企業の人事評価のルールやメカニズム、さらに人事評価のあり方について、著者自身の経験も踏まえて述べられています。
しかし、本書の書名はサラリーマンであれば興味関心のある「働かないオジサンの給料はなぜ高いのか」となっており、ついつい手に取りたくなるような秀逸な書名だと思いました。

日本の企業の場合、企業間の競争が激しくなっても、会社内の労働システムは協調して働くことがポイントであり、他社との競争が激しいほど結束しなければならない。
したがって、社内で評価されるには、スキルやリーダーシップよりも、誰とでも円滑な意思疎通ができることが重要であり、会社は自分らしさを発揮する場や勉強する場、個人の成長を求める場でもないと著者は主張します。

そもそも、会社に入社することは、「労働者が労働力を提供して、使用者がそれに対して賃金を支払うことを内容とする契約」だけではなく、「会社というコミュニティのメンバーになること、その会社の会員になるというメンバーシップ契約」と考える方が実態にあっていると著者は主張します。

そして、新卒一括採用で入社し、当面は非管理職として現場で働き、40歳前後で管理職になるというのが大手企業の一般的な人事評価のルールであり、役職が上がるにつれてポストは減少し、優秀な後輩も控えているため、どこかで権限のある役職から離れざるを得ない。
その時にオジサンは、頑張ってもこれ以上は給料が増えないし、出世もしないことに気づく。
そして、終身雇用制であるため、同時にそれほど働かなくても給料はそれほど下がらないことにも気づく。
また、企業は社員が若い時には貢献度よりも低い賃金を払い、その差異の部分を中高年以降に付加して支払っている。
つまり、序列の高さと勤務した長さによって評価する仕組みを企業は持っている。
自分が会社からそれほど期待されていないことは本音では分かっているため、仕事への達成意欲やこだわりが薄れ、与えられた職務だけを無難にこなせばよいという自分本位の姿勢になりがちとなる。
著者は、これが「働かないオジサン」が生まれるメカニズムであると説明しています。

著者は、新卒一括採用、終身雇用制の直線的な人事評価ではなく、働き手が自らの仕事を選択できるように軌道修正していくことを提案しています。
また、会社員に対しては、人事考課や人事異動に一喜一憂することは避けなれないにしても、会社生活を直線的な上昇イメージで捉えるのではなく、自分にとっての適性は何かと常に考えながら仕事をしていくことを提案しています。

「働かないオジサン」が生まれるメカニズムには納得感があります。
ただし、自分は「働かないオジサン」になるのではなく、中堅・中小企業の活性化、そして、地域経済の活性化のために活躍するオジサンになるべく、会社の中で貢献するという一択ではない、複数の選択肢を想定した生き方をしていきたいと思いました。

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どうする?日本企業(三品和広氏)

先日、三品和広『どうする?日本企業』東洋経済新報社、2011を読みました。

著者は、企業現場とデータ分析によって、これまで『戦略不全の論理』『戦略不全の因果』の2冊の経営学書にまとめておられる経営学者です。

そして、本書は、上記の経営学書にまとめられた仮説を実務家向けに提示するために書かれたものです。

本書は、
『日本企業は管理職の延長線上に経営職を置いてしまったため、管理一辺倒に陥り、寿命を迎えた事業の立地にしがみついたまま、利益が伴わない不毛な努力を続けている。』
という前提に立っています。

1970年代に創業経営者や大物経営者が引退すると、日本企業は「集団経営」に移行します。
指揮官を失っても会社はすぐに潰れないものの、主力事業の寿命が尽きつつある企業にとっては、ブルーカラーのホワイトカラー化、遅い昇進、定期異動、全社的品質管理、改善活動、方針管理、事業計画、稟議を始めとした、実行部隊の技能形成を促し、現場で判断を下せることだけでは対応できないというわけです。

また、自社のやりたいことが先にあり、それに邁進した結果として企業が成長を遂げるのであればよいが、成長目標が先に立っていて、手段は後で社員に考えさせるという状況、また、決めたことを実行するために全社員を巻き込んでいく結果としての集団経営ならよいが、やることを合議で決める手段としての集団経営では違和感があるというわけです。

本書では、上記のような基本的な考え方を背景として、「どうする?」と聞かれた際に、模範解答といえる、「イノベーション」「品質」「多角化」「国際化」について、それぞれの具体的な事例を通じて、一歩立ち止まって、考え直してみることを提示しています。


私もMBAの取得や中小企業診断士資格の取得を目指して勉強を始めた頃は、経営戦略とは決まった型のようなものがあり、それに従って実行していくという印象を持っていました。

しかし、少し考えると当たり前なのですが、経営戦略に決まった型があるのであれば、誰が考えても同じ結論に至るということであるため、すべての企業が同じ戦略を選び、そして、その結果、企業間の差別化ができず、長期利益の獲得ができないという構図になってしまうわけです。

つまり、経営戦略に決まった型があるのではなく、自社がやりたい内容を実行するために、様々な型を経営者が状況に応じて選択していくことが経営なのではないかということです。

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メイカーズ進化論

先日、
小笠原治『メイカーズ進化論』NHK出版新書、2015
を読みました。

本書では、モノづくりを取り巻く、モジュール化、3Dプリンター、インダストリー4.0などについて、「売れる」「作れる」「モノゴトで稼ぐ」の3つの視点で分析しています。

「売れる」については、
アイデアを持つ人が、インターネットのサイトを通じて広く呼びかけることで、それに共感した人から資金を集める「クラウドファンディング」によって、製品の発売前から市場が予測できること。これにより、リソースの少ないベンチャー企業でも、試作品段階からのPRの重要性を理解し、世間の注目を集め、メディアに積極的に取り上げてもらう手法を使うことで、「モノが売れる」仕組みをつくることができることなどについて説明しています。

3Dプリンターの登場によって、「作れる」ことが注目されるものの、3Dプリンターやクラウドファインディングによって、ベンチャー企業でも「モノが売れる」仕組みができつつあることが、ものづくりの新たな展開につながるのではないかという主張です。


「作れる」については、
3Dプリンターに代表される「アディティブ・マニュファクチャリング(Addtive Manufacturing:積層造形、付加製造)」について説明しています。
「アディティブ・マニュファクチャリング(Addtive Manufacturing:積層造形、付加製造)」とは、樹脂などの薄い層を積み上げて立体物を製作する技術で、素材を「重ねる」技術です。
「切る」「削る」技術では時間がかかりすぎる作業を、素材を「重ねる」ことにより、従来は金型を成型しなければならなかった部品の製造に使うことで、工期を短縮し、コストダウンを図ることができるようになってきていることを説明しています。

また、マニュアル化されていない経験値や暗黙知の共有を促すメイカーズが集まる場ができつつあることについて、場の存在する意義や製品開発のスピードを上げることにつながることを説明しています。
具体的には、各国の製品規格、各種試験をクリアするためのノウハウをプラットフォームとして提供し、シェアしていくことによる製品開発のスピードアップ化を例示しています。


「モノゴトで稼ぐ」については、
「ドリルを買おうとしている人は、ドリルが欲しいのではなく穴を開けたいのだ」の格言のように、ユーザーが欲しいのは、モノではなく、モノゴトであることを説明しています。
モノづくりは、モノを売るのではなく、コトを売るサービス業になる可能性すらある。
IoTの普及によりセンシングの精度があがり、モノゴトで稼ぐ可能性が表面化してくることを説明しています。

さらに、「モノづくりの世代交代」や「工場のIoT化」についても説明しています。

モノづくりの世代交代
第一世代:従来のものづくり企業。自社で研究開発から企画、製造、販売、アフターサービスまですべてを一気通貫して行う。
第二世代:モジュール化された部品を組み合わせて、新たな付加価値を生み出す。
第三世代:IoTを担う、「モノのインターネット」ではなく、「モノとコトのインターネット」、「モノゴトで稼ぐ」モノづくり。

工場のIoT化
第一段階:製造機器同士、モジュール同士をつなげるための標準化
第二段階:製造装置を制御するコントローラーの標準化
第三段階:製造ライン、工場と工場の間をつなぐ情報の標準化
第四段階:原価や生産性などの経営に必要な情報の標準化
工場が自動的に効率化して生産工程が動くことが、スマート工場化(工場のIoT化)であり、さらに、自動化とインターネットへの接続にとどまらず、メーカーが顧客にサービスを提供する「モノゴト化」も考えられるのではないかと説明しています。


本書では、抽象論になりがちな「クラウドファンディング」「3Dプリンター」「モノづくりからコトづくり」などの新たなモノづくりの動きについて、具体的な事例を交えて説明されています。
具体的な動きが顕在化した時には、既存のモノづくり企業にとっては手遅れになっている可能性もあるため、自社で取り組むべきこと、取り込むべきこと、提携すべきことなどを意識して、本書を読まれることをお勧めします。

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ものづくりの反撃

先日、
中沢孝夫、藤本隆宏、新宅純二郎『ものづくりの反撃』ちくま新書、2016
を読みました。

1980年代のASEAN、冷戦終結後の中国などを中心とした低賃金労働力の登場により、日本のものづくりの海外移転や空洞化が叫ばれました。
そして、現在、インダストリー4.0、IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)など、ものづくりの新たな転換点であるという主張がされています。

しかし、筆者たちは、そういった流行に対して、ものづくりの現場を踏まえた反論を本書で展開しています。

同じ産業のなかにも強い企業と弱い企業はあり、製造業のなかにも強い部分と弱い部分があることを前提として、それぞれの企業を個別に見て、それを積み重ねて全体状況を読み取るべきである。
中小企業の場合も、かわいそうな中小企業はたしかに存在するものの、中小企業全体がかわいそうなわけではないというわけです。

ASEANや中国などの低賃金労働力の登場についても、製造業の場合、全体のコストの3割程度が人件費であり、その3割における人件費の差(例えば、20対1)が、生産性の差によって埋められて、コスト全体で見れば、ほとんど差がない状況になってきている。
したがって、日本のものづくりは空洞化しないし、円安によって国内回帰するという単純な話ではないというわけです。

そして、その生産性の向上を考える場合は、先端設備の開発・導入する「生産技術」と現状の設備を使いこなし改善していく「製造技術」を分けて考え、両者が必要であることも主張されています。

私が企業の方とお話をする中でも、競争力のある企業では、単純に設備を購入するのではなく、設備メーカーに意見を出して自社の製造にあった設備をつくる、購入した設備を使いこなすためにカイゼン活動を継続しているという話を多く聞きます。

また、他と異なっているという差別化された個別性が工場の強さなのであって、他社との標準化・共通化は、規格や品質・機能といった結果であり、結果をもたらすプロセスまで同じであったら、競争力を弱める。
製品の標準化のために外部に情報を公開する一方で、製造方法は内部に隠す独自ノウハウにするという戦略が必要という主張も同感です。

今後の日本に必要なことは、現状の人件費の差だけを見たものづくりの海外移転を防ぐことや円安によって国内回帰を促進するという話ではなく、これまでに以上に、国内現場の生産性向上、実力に応じた海外生産進出、そして、新市場の開拓や新商品の開発も同時に進めることであるという筆者たちの意見に私も賛同します。

「インダストリー4.0」についても、日本の生産現場では、長年地道にFA(ファクトリーオートメーション)の改善と進化を続けており、その延長線上の話であり、慌てて対応するのではなく、カイゼン活動にどのようにITを活かすのかという視点で考えていくべきではないかと考えました。
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