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中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職21年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

臆病者のための株入門&日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル

先日、
橘玲『臆病者のための株入門』文春新書、2006
橘玲『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』ダイヤモンド社、2013
を読みました。

『臆病者のための株入門』では、株式市場で富を創造するには、3つの代表的な方法を紹介しています。
1.トレーディング(デイトレードを含む)
 誰かが得をすればだれかが損をするゼロサムゲーム。
 株式市場はおおむね効率的であるが、わずかな歪みが生じている。
 ただし、その歪みは、有能な投資家によってすぐに発見され、消滅してしまう。
 確実に儲かる方法をすべての投資家が知っていたならば、論理的に、その方法ではだれも儲けられない。
 なぜなら、損をする投資家がどこにもいなくなってしまうから。
 株価が日々変動しているという事実は、だれも未来を予知できないという当たり前のことを逆説的に証明している。
2.個別株長期投資(バフェット流投資法)
 株式市場はおおむね効率的であるが、わずかな歪みが生じている。
 ただし、その歪みは、有能な投資家によってすぐに発見され、消滅してしまう。
 市場の歪みを利用し、なおかつ、長期にわたる市場の拡大も援用する。
 企業調査に時間と努力が必要。
3.インデックスファンド
 資本主義は自己増殖のシステムなので、長期的には市場は拡大し、株価は上昇する。
 ただし、それがいつになるかはわからない。
 平均以上の運用実績をあげることは原理的に不可能であるが、市場平均を下回ることもない。

そして、それぞれ一長一短があるものの、経済学的にもっとも正しい投資法は、「世界市場全体に投資する」ということは明らかにされていると説明しています。
具体的には、世界市場全体に連動して動くインデックスファンドに投資するということです。
ファイナンス理論によれば、経済成長率が高い国は、みなが争って投資するから、株価も割高となるため、株価は長期的に経済成長率に収斂する。
したがって、世界市場全体に投資すればよい。
また、為替リスクについても、長期的には為替レートは購買力平価に収斂するため、円建てか外貨建てかは問題にならないことも説明されています。

本書では、バートン・マルキール著、井出正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー』でも説明されているように、経済学的にもっとも正しい投資法は、「世界市場全体に連動して動くインデックスファンドに投資する」ということが説明されていますが、「株式市場の歪みを利用する方法」と「長期にわたる市場の拡大を利用する方法」が存在し、それぞれ一長一短があること、資産運用に時間と労力を使うことが難しい素人がどのように考えるべきかについて簡潔にまとめられている書籍だと思いました。

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『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』では、日本の財政が破たんする三段階に分けた対応方法をまとめています。

具体的には、次のような内容です。
第1段階:国債価格の下落による金利上昇
 普通預金…金利が上昇すれば、普通預金の金利も上昇する
第2段階:国債下落、円安と物価上昇のスパイラル
 外貨預金、外貨MMF
 日本国債ベアファンド…国債の下落にレバレッジをかけて投資。金利が変動しないと長期的には基準価額が減価していくので投資のタイミングに注意が必要。
 物価連動国債ファンド…インフレになれば元本が増えて資産の実質価値を保全する
第3段階:日本国が国債のデフォルトを宣告、国家破産
 海外銀行の外貨預金

ただし、結論は、意外とシンプルで、
「日本の財政が破たんに向かっているとしても、当分、金融資産は普通預金で持っていればいい」
「日本の財政が破たんしたとしても、手近にある金融商品だけで資産のかなりの部分を守ることができる」
「海外投資をする必要があるとしても、ネット銀行の外貨預金でじゅうぶん」
「金融機関が熱心に勧誘するウマそうな話はすべて無視する」
ということです。

本書を読んで改めて認識したことは、投資の原則は、「リスクとリターンは正比例している」ということです。
「日本の国家破産」は、絶対にないとは言い切れませんが、リスクとリターンを考えて、どのような金融商品がいつ必要で、そのためにどの程度のコストをかけるのかを考えて選択するという当たり前の対応をすべきであるということです。

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エンデの遺言

先日、河邑厚徳、グループ現代『エンデの遺言』NHK出版、2000を読みました。

本書は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデが、1994年にNHKの取材でお金について語った録音テープをもとにつくられ、1999年に放送された番組「エンデの遺言 根源からお金を問う」をまとめた書籍です。

ミヒャエル・エンデは、1994年のNHKの取材後、1995年に亡くなったため、「エンデの遺言」という番組名がつけられています。

本書を読むと、現在、当たり前に思っている金融システムが唯一絶対のものではないことに気付かされます。

もともと物々交換の不都合を回避するためにつくりだされたお金は、交換のための手段「交換手段の機能」に加えて、蓄える機能「価値の保蔵機能」を持ち、お金を貸し付けることでプラスの利子がついて価値が増すこととなり、お金を持つことが目的にもなりました。
さらに、お金自体が、投資・投機の対象となり売買されるようにもなっています。

お金の「交換手段の機能」に着目すれば、お金は公共財であり、公共財を私有することで、プラスの利子がついて価値が増すことは必ずしも当たり前ではないというわけです。
むしろ、公共財を使用するわけであるから、マイナスの利子を支払うべきという考え方もあるというわけです。

本書では、経済理論や地域通貨の取り組みを通じて、お金とは何か、現在の資本主義の金融システムは本当に世界を幸福にするのかについて、問題提起がされています。


ミヒャエル・エンデは、時間泥棒「灰色の男たち」の話である『モモ』の作家としての方が有名かもしれません。

この『モモ』の中でも、時間泥棒「灰色の男たち」は次のような話をして人々から時間を奪います。
「時間を節約して時間貯蓄銀行に時間を預ければ、利子が利子を生んで、人生の何十倍もの時間をもつことができる」

この「灰色の男たち」の話を聞いて、
「何となくおかしいように思うけれど、何がどうおかしいのか分からない」
という方には、『エンデの遺言』と『モモ』をあわせて読まれることをお勧めします。


本書を読むことで、解決策がすぐに見つかるわけではありません。
また、自分にできることがすぐに見つかるわけでもありません。
しかし、現在、当たり前に思っていることについて、新たな視点で考えてみること自体が重要なのではないかと思いました。

エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)
(2011/03/22)
河邑 厚徳、グループ現代 他

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モモ (岩波少年文庫(127))モモ (岩波少年文庫(127))
(2005/06/16)
ミヒャエル・エンデ

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「運用立国」で日本は大繁栄する(澤上篤人氏)

先日、澤上篤人『「運用立国」で日本は大繁栄する』PHP、2008を読みました。

澤上篤人氏は、ご存知の方も多いかもしれませんが、長期投資、長期保有型の投資信託「さわかみファンド」を運営しています。

その澤上氏が、自身の金融運用ビジネスの経験から、
「日本は金融立国ではなく運用立国を目指すべき」
という考え方をもとに書いたのが本書です。

「金融立国」と「運用立国」の違いについて、澤上氏は次のように説明しています。
『「金融立国」とは、世界各地から資金が集まってきて、世界各地への資金が流れ出していく中継点の役割を果たすことで、国家として大きな収入を得ることである。
市場機能が存分に発揮されるよう、国が重要政策のひとつとして全面的にサポートし、大々的に展開する。
しかし、いくつかの理由により日本には欧米式の金融センターはなじまない。
「運用立国」とは、世界最大の債権国であり、預貯金に眠る個人マネーを長期運用にまわし、その投資リターンによって資産増加、消費拡大を図ることである。
そして、東京株式市場を世界最大の運用市場、長期投資家が中心となった市場として存在感を高めていく。』


日本経済の発展のためには、企業の成長を支えるリスクマネーが円滑に供給されるようにしなければならない。
そのため、資産運用における金融商品の選択において、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させようとのスローガンが掲げられたのは、今世紀(21世紀)に入ってからだと思います。
しかし、タイミングが悪かったため、そのスローガンに合わせて投資を始めた多くの方は損をしてしまったのではないでしょうか。

それでは、「貯蓄から投資へ」をやめて、「投資から貯蓄へ」逆戻りすることで問題は解決するのでしょうか。

「将来のお金」を数式で表すと次のようになります。
「将来のお金=((収入ー支出)+資産)×運用利回り」

この数式から分かることは、「将来のお金」を増やすためには、
「1.収入を増やす」「2.支出を減らす」「3.運用利回りを上げる」
のいずれか、もしくはいくつかの組み合わせによらなければならないということです。

そして、少子化、高齢化が進む日本では、「3.運用利回りを上げる」ことに取り組まなければ厳しい状況になることは想像できると思います。

高齢化がさらに進むと、世界最大の債権国の原資である日本の個人マネーも減少していくと思います。
原資が減少すると、その投資リターンによる資産増加の効果も小さくなります。

澤上氏も述べておられる「運用立国」への転換を、早く着実に進めていく必要があると思います。

「運用立国」で日本は大繁栄する「運用立国」で日本は大繁栄する
(2008/08/26)
澤上 篤人

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検証中小企業金融

以前、渡辺努、植杉威一郎編著『検証中小企業金融』日本経済新聞出版、2008 を読みました。

本書は、中小企業金融の通説を検証するというコンセプトで、次にあげるような論点(通説)に対して改めて検証を行っています。

・中小企業における淘汰は正常か。
・中小企業向け融資は適切に金利設定されているか。
・貸しはがしの影響は深刻だったのか。
・リレーションシップバンキングは中小企業金融の万能薬か。
・担保や保証人に依存した貸し出しはやめるべきか。
・政府による特別信用保証には効果があったのか。

現在、改めて金融機関の役割が問われているのではないかと思います。

しかし、世間一般に言われている中小企業金融に対する金融機関の態度やイメージは、学術的に分析すると正しいのかといったことは、これまであまり分析が進められてこなったのかもしれません。
マスコミや我々も漠然としたイメージで語られる(語る)ことが多かったように思います。

本書は、そんな中小企業金融に対するイメージを明確にする一歩になるのではないかと思いました。

お勧めです。

検証 中小企業金融―「根拠なき通説」の実証分析検証 中小企業金融―「根拠なき通説」の実証分析
(2008/09)
渡辺 努、植杉 威一郎 他

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地域金融論

先日、多胡秀人『地域金融論』金融財政事情研究会、2007 を読みました。

本書は、金融審議会の「リレーションシップ・バンキングに関するワーキンググループ」のメンバーを務め、地域金融機関の経営コンサルティングを実施している著者による恒久的なリレーションシップバンキングを実践するための論点整理をした書籍です。

ご存知の方も多いと思いますが、2003年の金融審議会報告『リレーションシップバンキングの機能強化に向けて』以降、地域金融機関にとって「リレーションシップバンキング」は中小企業に対する金融機関の役割と言うことで注目されています。

■金融庁:地域密着型金融(リレーションシップバンキング)HP
http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/index.html


一般的には、「リレーションシップバンキング」とは、「金融取引を通じた借手と金融機関の親密な結びつき」を金融機関側から見たものと言われています。

中小・地域金融機関が、借り手の事業内容まで深く入り込み、彼らの本来の経営ニーズである事業の持続と成長のために借り手の経営者と一緒に考え、ともに汗を流すことで、適正金利、融資の定価販売を達成しようというビジネスモデルです。

本書でも指摘されていますが、多くの中小・地域金融機関では、
「リレーションシップバンキングは昔からやっている」
「リレーションシップバンキングこそ、われわれが従来から取り組んでいるビジネスモデルである」
などとの主張がされていますが、従来から行われているリレーションシップバンキングとは似て非なるものであり、リレーションシップバンキングは、顧客のニーズに合致するものであると同時に、金融機関側の収益向上につながるものでなければならないと説明されています。

現在の多くの中小・地域金融機関における収益向上策は、
1.営業経費の削減
2.投資信託・保険などの預かり資産業務
3.住宅ローンなどの個人ローン
4.価格を犠牲にした貸出ボリューム追及
となっていますが、いずれも限界に達しており、中小・地域金融機関にとって、リレーションシップバンキングによる収益向上が生き残りのためにも必要であるという主張は私も同感です。


では、具体的にはどうすればよいのかという疑問に対して、本書では考え方のヒントを与えてくれているように思いました。

・金融行政当局が示した具体的列挙項目をチェックリストのように消し込む作業ではないこと。
・ご機嫌伺いの御用聞き訪問と金融機関側が考える売れ筋商品の販売では、リレーションシップのためにかけた営業経費以上の収益向上にはつながらないこと。
・顧客が「高い預金金利・低い借入金利・低い手数料」を求めるだけなのであれば、リレーションシップバンキングの出番はなく、貸出に当たって財務諸表や客観的に算出されるクレジットスコアといった定量的な指標を重視するトランザクションバンキングで対応すべきであること。
・営業経費の削減が、現状の仕組みを温存したままの一律カットの考え方であれば、目先の収益改善にはそれなりの結果が出たとしても、将来に向けての収益力を弱め、オペレーショナル・リスクを増大させていること。


地域金融に関わっている方には、非常に参考になる書籍と思われますので、お勧めです。
また、本書を読んだあとに、2007年の金融審議会報告『地域密着型金融の取組みについての評価と今後の対応について』を読み返してみると、リレーションシップバンキングによる収益向上の新たな視点が見えてくるようにも思います。

地域金融論―リレバン恒久化と中小・地域金融機関の在り方地域金融論―リレバン恒久化と中小・地域金融機関の在り方
(2007/07)
多胡 秀人

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