中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職19年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

個人型確定拠出年金iDeCo活用入門(竹川美奈子氏)

先日、竹川美奈子『個人型確定拠出年金iDeCo活用入門』ダイヤモンド社、2016を読みました。

本書は、法律改正によって、2017年1月から対象者が拡大された「個人型確定拠出年金(通称:iDeCo(イデコ))」の概要と活用方法を説明した書籍です。

2017年1月以降は、それまでの自営業者や勤務先に企業年金のない会社員に限定されていた対象者が、60歳未満の人は原則誰でも加入できるようになりました。

「個人型確定拠出年金(通称:iDeCo(イデコ))」は、公的年金の補完的な役割を担う私的年金の充実を図るための制度です。
したがって、運用したお金は、原則60歳以降に、一時金か年金の形で受け取ることになっており、運用成果によって受け取る金額も変わってきます。

iDeCo(イデコ)には、「拠出時」「運用時」「給付時」の税制上の優遇措置があります。
「拠出時」には、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。生命保険等の個人年金保険の控除よりも節税効果が大きい。
「運用時」には、運用益が非課税となります。
「給付時」には、退職所得控除や公的年金等控除の対象となり、税負担が軽減されます。

購入する運営管理機関(金融機関等)は、一つの機関としか取引はできず、運営管理機関によって運用商品や口座管理手数料、サービスに差があるので、長い付き合いとなるため、慎重に検討することが必要となります。

口座管理手数料は、加入時手数料とは異なり、毎月発生する費用となります。
口座管理手数料そのものは、掛金が全額所得控除の対象となり、その分の所得税や住民税の節税効果と比較すると、大きな金額ではありませんが、運営管理機関による差は、運用期間が長くなると、大きな差になることに注意が必要です。

なお、運営管理機関の検討には、確定拠出年金教育協会のHPが参考になります。
http://www.dcnenkin.jp/

本書にも記載が出てきますが、iDeCo(イデコ)を活用するかどうか、どの運営管理機関(金融機関等)で、その商品で運用するかについては、iDeCo(イデコ)だけでなく、自分の金融資産の運用全体の中で考える必要があります。
iDeCo(イデコ)は、掛金が全額所得控除の対象と運用益が非課税となることから考えると、元本確保型は自身で定期預金などを購入して、iDeCo(イデコ)では、長期的なリターンが期待される株式に投資する投資信託を中心に購入・運用するという使い分けです。

「個人型確定拠出年金(通称:iDeCo(イデコ))」といっても、特別な運用方法があるわけではありません。
制度の内容をよく理解して、自分の金融資産の運用全体の中でどのように活用していくかを考えていく必要があるといえます。


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臆病者のための億万長者入門

先日、橘玲『臆病者のための億万長者入門』文春新書、2014を読みました。

本書は、著者の前作であり、本ブログでも紹介しました
『臆病者のための株入門』『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』
の内容も取り込み、不動産投資についての記述も追加した書籍です。

本書では、まずお金持ちになるための方法は次の「お金持ちの方程式」から、3つしかないことを説明しています。
「総資産=収入-支出+(資産×運用利回り)」
1.収入を増やす
2.支出を減らす
3.資産を上手に運用する

さらに、資産運用を考える上では、預金金利や株式投資などの金融資本だけでなく、人的資本を含む総資本を考えることが大事であることを説明しています。
1.総資本=人的資本+金融資本
2.金融資本=金融資産+不動産+年金資産+相続資産など

例えば、年金問題を個人的に解決するのであれば、金融資本の運用よりも先に、人的資本の運用を考えるべきというわけです。
日本人の平均寿命に比べて定年という強制解雇が早すぎるわけであるから、労働市場のなかで自分の価値を高め、年齢にかかわらず稼げるようになることが人的資本の運用の視点というわけです。

株式運用については、
1.株式市場は、誰も未来を知ることはできない。
2.株価が20年で10倍以上なるような「黄金時代」は(おそらく)終わってしまった。
3.個人投資家は株式市場の中でもっともリスク耐性が低い。
という前提をもとに、
「株式市場の暴落を待って、株価が回復するまでドルコスト平均法で世界市場全体に連動して動くインデックスファンドに分散投資する」
ということです。

また、為替リスクについては、前著の『臆病者のための株入門』でも説明されていたように、
長期的には為替レートは購買力平価に収斂する(インフレなら通貨は下落する、デフレなら通貨は上昇する、よって、市場の裁定によって為替レートがモノの値段を同じにする、名目レートに比べて実質レートは大きく変動しない)、
長期的には実質金利は同じになる(金利の高い通貨は下落する、金利の低い通貨は上昇する)、
ことから円建てか外貨建てかは問題にならないと説明されています。

さらに、不動産については、賃貸と所有でどちらが得かということは結果論であり、市場経済では絶対に得をするということはありえないことについても説明されています。
簡単に説明することは難しいため、本書をお読みいただければと思いますが、例えば、不動産(マイホーム)を所有するための資金を株式などの運用に回して配当を受け取る場合と比較すると、配当額が大きければ賃料が実質的に無料になる場合もあり得るというわけです。
要するに、不動産投資と株式投資のどちらが儲かるかという話なのであり、地価が上昇を続ける場合は借金をして不動産投資をした方が株式投資よりも儲かったという話であることを説明しています。
さらに、不動産については、市場の構造から、一次情報の周囲にいる投資家と比較して、素人が不動産の「掘り出し物」の物件を見つけることは不可能である「情報の非対称性」の弊害が大きい市場であることも説明しています。

本書を読んで感じたことは、投資の原則は、やはり「リスクとリターンは正比例している」ということです。
有利な投資機会は、自分のところに来る前に投資のプロが持っていってしまっているのが当然という意識で、自分に理解できない投資はしない、ゆっくり時間をかけて検討してリスクとリターンを理解してから意思決定することが重要だということです。

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内藤忍の資産設計塾(第4版)

先日、内藤忍『内藤忍の資産設計塾(第4版)』自由国民社、2015を読みました。

以前、このブログで紹介した内藤忍『60歳までに1億円つくる術』幻冬舎新書、2009が、資産運用の基本的な考え方を書いた書籍に対して、本書は、「人生の目標を設定し、それを達成するために「いつまでにいくら」必要なのかを考える」という基本は同じですが、そのための資産運用方法についてまとめられていることが異なります。

具体的には、
・資産運用のためのアセットアロケーション(どの資産にどれだけ投資するか配分を決めること)の重要性
・インデックス運用とアクティブ運用の違い
 →個人投資家が自分で銘柄を選んで市場平均を上回るには高いスキルが必要なため、まずはインデックス運用で市場平均を着実に取りにいく
・積立投資(ドルコスト平均法)の効果と限界
 →インデックス運用の投資信託の毎月積立が有効
  ただし、将来的に上昇する資産でなければ、最終的には利益に結びつかないことも認識しておく必要あり
  (インデックス運用する市場<例えば、日本株式、外国株式の市場>全体が中長期的に成長することが前提となっている)
・外国資産は保有しないことがリスク
 →資産の大半を日本円で保有することは円安リスクを取っていることになる
などの資産運用の基本的理論を紹介したのちに、
・投資信託、ETF(株価指数連動型上場投資信託)、海外ETF、日本株式、日本債券、外国債券、FX(外国為替証拠金取引)、REIT(不動産投資信託)などの説明
・アセットアロケーション(日本株式、日本債券、外国株式、外国債券、流動性資産、その他)の方法とモニタリング、リバランスの方法
・実物資産(不動産、金、ワイン)での運用方法
などについて説明しています。

これから資産運用を考えている方は、
「簡単に儲かるうまい方法はない」
「無料相談が手軽でお得という考えではなく、「価値>価格」を考えた相談やセミナーの選択が必要」
ということを念頭において本書のような入門書から勉強を始めて、実際の投資を開始することをお勧めします。

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臆病者のための株入門&日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル

先日、
橘玲『臆病者のための株入門』文春新書、2006
橘玲『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』ダイヤモンド社、2013
を読みました。

『臆病者のための株入門』では、株式市場で富を創造するには、3つの代表的な方法を紹介しています。
1.トレーディング(デイトレードを含む)
 誰かが得をすればだれかが損をするゼロサムゲーム。
 株式市場はおおむね効率的であるが、わずかな歪みが生じている。
 ただし、その歪みは、有能な投資家によってすぐに発見され、消滅してしまう。
 確実に儲かる方法をすべての投資家が知っていたならば、論理的に、その方法ではだれも儲けられない。
 なぜなら、損をする投資家がどこにもいなくなってしまうから。
 株価が日々変動しているという事実は、だれも未来を予知できないという当たり前のことを逆説的に証明している。
2.個別株長期投資(バフェット流投資法)
 株式市場はおおむね効率的であるが、わずかな歪みが生じている。
 ただし、その歪みは、有能な投資家によってすぐに発見され、消滅してしまう。
 市場の歪みを利用し、なおかつ、長期にわたる市場の拡大も援用する。
 企業調査に時間と努力が必要。
3.インデックスファンド
 資本主義は自己増殖のシステムなので、長期的には市場は拡大し、株価は上昇する。
 ただし、それがいつになるかはわからない。
 平均以上の運用実績をあげることは原理的に不可能であるが、市場平均を下回ることもない。

そして、それぞれ一長一短があるものの、経済学的にもっとも正しい投資法は、「世界市場全体に投資する」ということは明らかにされていると説明しています。
具体的には、世界市場全体に連動して動くインデックスファンドに投資するということです。
ファイナンス理論によれば、経済成長率が高い国は、みなが争って投資するから、株価も割高となるため、株価は長期的に経済成長率に収斂する。
したがって、世界市場全体に投資すればよい。
また、為替リスクについても、長期的には為替レートは購買力平価に収斂するため、円建てか外貨建てかは問題にならないことも説明されています。

本書では、バートン・マルキール著、井出正介訳『ウォール街のランダム・ウォーカー』でも説明されているように、経済学的にもっとも正しい投資法は、「世界市場全体に連動して動くインデックスファンドに投資する」ということが説明されていますが、「株式市場の歪みを利用する方法」と「長期にわたる市場の拡大を利用する方法」が存在し、それぞれ一長一短があること、資産運用に時間と労力を使うことが難しい素人がどのように考えるべきかについて簡潔にまとめられている書籍だと思いました。

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『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』では、日本の財政が破たんする三段階に分けた対応方法をまとめています。

具体的には、次のような内容です。
第1段階:国債価格の下落による金利上昇
 普通預金…金利が上昇すれば、普通預金の金利も上昇する
第2段階:国債下落、円安と物価上昇のスパイラル
 外貨預金、外貨MMF
 日本国債ベアファンド…国債の下落にレバレッジをかけて投資。金利が変動しないと長期的には基準価額が減価していくので投資のタイミングに注意が必要。
 物価連動国債ファンド…インフレになれば元本が増えて資産の実質価値を保全する
第3段階:日本国が国債のデフォルトを宣告、国家破産
 海外銀行の外貨預金

ただし、結論は、意外とシンプルで、
「日本の財政が破たんに向かっているとしても、当分、金融資産は普通預金で持っていればいい」
「日本の財政が破たんしたとしても、手近にある金融商品だけで資産のかなりの部分を守ることができる」
「海外投資をする必要があるとしても、ネット銀行の外貨預金でじゅうぶん」
「金融機関が熱心に勧誘するウマそうな話はすべて無視する」
ということです。

本書を読んで改めて認識したことは、投資の原則は、「リスクとリターンは正比例している」ということです。
「日本の国家破産」は、絶対にないとは言い切れませんが、リスクとリターンを考えて、どのような金融商品がいつ必要で、そのためにどの程度のコストをかけるのかを考えて選択するという当たり前の対応をすべきであるということです。

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エンデの遺言

先日、河邑厚徳、グループ現代『エンデの遺言』NHK出版、2000を読みました。

本書は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデが、1994年にNHKの取材でお金について語った録音テープをもとにつくられ、1999年に放送された番組「エンデの遺言 根源からお金を問う」をまとめた書籍です。

ミヒャエル・エンデは、1994年のNHKの取材後、1995年に亡くなったため、「エンデの遺言」という番組名がつけられています。

本書を読むと、現在、当たり前に思っている金融システムが唯一絶対のものではないことに気付かされます。

もともと物々交換の不都合を回避するためにつくりだされたお金は、交換のための手段「交換手段の機能」に加えて、蓄える機能「価値の保蔵機能」を持ち、お金を貸し付けることでプラスの利子がついて価値が増すこととなり、お金を持つことが目的にもなりました。
さらに、お金自体が、投資・投機の対象となり売買されるようにもなっています。

お金の「交換手段の機能」に着目すれば、お金は公共財であり、公共財を私有することで、プラスの利子がついて価値が増すことは必ずしも当たり前ではないというわけです。
むしろ、公共財を使用するわけであるから、マイナスの利子を支払うべきという考え方もあるというわけです。

本書では、経済理論や地域通貨の取り組みを通じて、お金とは何か、現在の資本主義の金融システムは本当に世界を幸福にするのかについて、問題提起がされています。


ミヒャエル・エンデは、時間泥棒「灰色の男たち」の話である『モモ』の作家としての方が有名かもしれません。

この『モモ』の中でも、時間泥棒「灰色の男たち」は次のような話をして人々から時間を奪います。
「時間を節約して時間貯蓄銀行に時間を預ければ、利子が利子を生んで、人生の何十倍もの時間をもつことができる」

この「灰色の男たち」の話を聞いて、
「何となくおかしいように思うけれど、何がどうおかしいのか分からない」
という方には、『エンデの遺言』と『モモ』をあわせて読まれることをお勧めします。


本書を読むことで、解決策がすぐに見つかるわけではありません。
また、自分にできることがすぐに見つかるわけでもありません。
しかし、現在、当たり前に思っていることについて、新たな視点で考えてみること自体が重要なのではないかと思いました。

エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)
(2011/03/22)
河邑 厚徳、グループ現代 他

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モモ (岩波少年文庫(127))モモ (岩波少年文庫(127))
(2005/06/16)
ミヒャエル・エンデ

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