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中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職21年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

株式会社はどこへ行くのか

以前、上村達男、金児昭『株式会社はどこへ行くのか』日本経済新聞出版社、2007を読みました。

本書は、早稲田大学法学部教授の上村氏と信越化学工業顧問であり、日本CFO(最高経理・財務責任者)協会最高顧問でもある金児氏の対談をまとめたものです。

M&Aの経験も豊富な会計実務経験者である金児氏が質問を行い、それを上村氏が法律論を交えた説明をするという形式となっています。

多くの「株式会社論」についての書籍が「会社は誰のものか」についての考え方を述べたものに対して、本書は法律論、さらにはその法律の背景となる歴史的経緯などを踏まえた内容となっており、興味深い内容となっています。


上村氏は、「会社は誰のものか」について、「会社は株主のものだ、株主が所有者だ」ということは「法律的には所有でないことは明らかである。」と述べています。

どういうことかと言いますと、株主は資金を出資する。株主は代わりに株式を取得して、株式の所有者になるのであって、株主の出資した資金の所有者は会社になるというわけです。
この論理によって、株式はモノとして扱うことができるようになり、株式市場の形成が可能になるというわけです。
また、株主のもつ残余財産請求権についても、債権者よりも劣後するためこの権利をもつからということで株主が会社を所有しているとは言えないとも述べています。
さらに、日本での株主主権についての考え方も、大株主が法人であることが多いため、法人株主主権になり、株主平等の原則も、法人株主を個人株主と同等に扱って考える傾向にあることを懸念しています。
米国でも、大株主が機関投資家であることが多いですが、その機関投資家は多くの労働者や農民や公務員といった個人のための存在であり、日本の法人株主や私募ファンドとは異なり、多くの個人に直接還元される仕組みがあるというわけです。


上村氏の基本的な考え方は、欧米の会社法は、歴史的経緯を踏まえた内容となっており、その歴史的背景を理解せず、米国の制度は良い悪い、欧州の制度は良い悪いということではなく、証券市場と株式会社の関係を日本としてどのように考えるのかという議論の上に会社法を構築すべきだというものと思われます。
また、特に日本は、明治以来100年以上にわたって外国の法律を学んできた世界でもめずらしい国であることから欧米の仕組みをよく理解して日本型モデルを理論構築できる可能性と能力を備えているのではないかという考えと思われます。


「会社は誰のものか」という議論では、とかく精神論や感情論が多く、また、欧米の制度を受け入れるべきか否かという議論になることもあります。
本書は、法律論からのアプローチであり、新鮮な印象を持ちました。
私は大学で法律を学んでいたこともあり、改めて「会社は誰のものか」ということを考えてみる新たな視点が持てたような気がします。
お勧め書籍です。

株式会社はどこへ行くのか株式会社はどこへ行くのか
(2007/08)
上村 達男金児 昭

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テーマ:ビジネス・起業・経営に役立つ本 - ジャンル:本・雑誌