本書は、世界での電気自動車(EV)の普及を予測し、日本国内向け軽自動車の生産を行ってきたイナズミ、世界屈指の自動車メーカーであり、燃料電池自動車(FCV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、PHV(プラグインハイブリッド)の開発、市場投入を実現したタカバ自動車工業、総合電機メーカーであったものの、利益の水増しの不正会計の不祥事の影響から急速に業績の悪化したコクデンの3社がそれぞれの自社の生き残りをかけて、事業戦略、製品開発を進める異業種競争の経済小説です。
本書はフィクションですが、この10年程度で考えても、自動車業界は大きく変動していると言えます。
トヨタ自動車が、次世代自動車として燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売したのは、2014年12月でした。
しかし、水素ステーションなどのインフラ整備の遅れや車両価格の高さなどもあり、また、世界各国で進む電気自動車(EV)シフトに押されているのが現状と言えます。
一方、既存の自動車サプライチェーンを維持、活用するためには、電気自動車(EV)シフトではなく、ガソリン車、ディーゼル車からハイブリッド電気自動車(HEV)、さらに燃料電池自動車(FCV)、PHV(プラグインハイブリッド)へシフトさせていくべきと思います。
本書でも、世界各国で進む電気自動車(EV)シフトにどのように対応するのか、大きな雇用をかかえる既存の自動車サプライチェーンをどうするのか、水素ステーションとEV充電スタンド・ステーションの二重投資をどうするのか、などが語られます。
自動車業界の大きな変動期とも言える中で、既存のサプライチェーンは強みというよりも弱みになるのではないかなどいろいろと考える素材が多く入っている経済小説と言えます。
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