![]() | メガ・リージョンの攻防 ─人材と企業の争奪戦にどう勝利するか─ (2008/08/22) 細川 昌彦 商品詳細を見る |
細川昌彦『メガ・リージョンの攻防』東洋経済新報社、2008を読みました。
本書は、著者の細川氏が、
「東京国際映画祭の仕掛け」「グレーター・ナゴヤの提唱」「ニューヨークでの日本食文化フェスティバルの仕掛け」
の中で「地域が世界との競争に打ち勝つにはどうすればよいのか。」という答えとして、
1.「メガ・リージョン」という広域の単位で考える
2.「東アジア」を地域間競争の一つの土俵として捉える
3.メガ・リージョンを「経営する」という発想を導入する
という三つの視点から提案を行っている書籍です。
著者は、グローバリゼーションの下では、「国」という単位は消えて、「地域」という単位が前面に出てくると述べています。
「地域」の広がりについては、経済活動の実体から「都市」では小さすぎ、中核の大都市を中心として、半径50キロから200キロメートル圏内を一つの経済圏であると想定しており、それを「メガ・リージョン」と呼んでいます。
名古屋の経済圏でいえば、名古屋市だけでなく、愛知県、三重県北部、岐阜県南部を含めた経済圏「グレーター・ナゴヤ」の規模を想定しています。
具体的には、メガ・リージョンが人材と企業を世界から呼び込んで競争に勝ち抜く具体的な10個の提案をまとめています。
1.多様性と開放性の要素を持つ場をつくることでイノベーションの生態系づくりをめざす
2.街のエンターテイメント性など中核都市の魅力を高める
3.「形だけの広域連携」から「広域連携の実体づくり」へ
4.地域にとっての「企業の人事部」、大学の国際競争力を高める
5.アジア人留学生「獲得」戦略を産学連携で展開する
6.企業誘致の優等生、シンガポールに学ぶ、物流インフラ、人材、ターゲット(機能、業種)
7.企業と人材を呼ぶ込む総合的な地域マーケティングとしてブランド戦略を展開する
8.観光、国際会議、見本市、国際イベントを総合的に「複合戦略ビジネス」として捉える
9.国際的に競争できるプロフェッショナルの人材を養成する
10.地域は「チームによる共同経営体」と位置づけ、これを経営するシステムをつくる
私も著者の意見に賛同しています。
経済活動の実体から考えれば、「国」では広すぎ、「都市(県、市)」では狭すぎるといえます。
これからは、経済圏を「経営する」という発想で地域戦略、経済戦略を考えていく必要があると思います。
ただし、理論上の話を現実の動きに移していくためには、地域を取りまとめていくリーダーが必要なのではないかとも思っています。
数年で代わってしまうようなリーダーではなく、選挙などを通じた地域から選ばれた人材による経済圏の経営者が必要と思われます。
現状で考えれば、県知事や大都市の市長による広域連携体による経営ということになると思います。
県知事と大都市の市長を地域経済圏の経営陣(役員)と捉え、合議による地域経営を行っていくというイメージです。
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