加藤廣氏は、以前このブログでも紹介しました本能寺三部作『信長の棺』『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』がベストセラーになった作家です。
本書『謎手本忠臣蔵』は、『仮名手本忠臣蔵』の語呂合わせと「謎の手本」という2つの意味を持たせているようです。
なぜ「忠臣蔵」が「謎の手本」なのか?
本書では、日本では有名な「忠臣蔵」について、討ち入りをした大石内蔵助の視点からだけでなく、江戸幕府の5代将軍の徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保の視点を加えて描いています。
浅野内匠頭の刃傷の原因は、一般的には、浅野内匠頭と吉良上野介との私的争いごととされていますが、当時の幕府と朝廷との間にあった懸案事項が真の原因ではないかとの推理が小説の背景にあります。
その懸案事項を顕在化させないために、柳沢吉保が赤穂事件(忠臣蔵)を処理し、物語として流布させたことを「謎の手本」であると述べています。
本書は、本能寺三部作と同様に、大胆な推理をもとにした歴史小説です。
しかし、「赤穂事件(忠臣蔵)」を物語としてではなく、しっかりと考察した上で書かれているため、興味深かったです。
お勧めです。
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