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中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーのさきがけ読書録

このブログは、中小企業診断士&ファイナンシャルプランナーの就職20年目の仕事人(ビジネスマン)の読書録等です。現在、中小企業診断士、東海地域の某大学院(MBA)、行政書士(試験合格のみ)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビジネス実務法務2級、ビジネスマネジャー、初級システムアドミニストレータなどの資格を取得しています。

結論を言おう、日本人にMBAはいらない(遠藤功氏)

先日、遠藤功『結論を言おう、日本人にMBAはいらない』角川新書、2016を読みました。

著者の遠藤氏は、米国でMBAを取得し、コンサルティング会社を経て、13年間、早稲田大学のビジネススクールで教鞭をとり、2016年3月に日本のビジネススクールが、日本における企業や個人のニーズに合致しておらず、まったく機能していない、学生集めに苦しんでいる多くの日本のビジネススクールは、近い将来、新規募集の停止に追い込まれるだろうという思いから退任され、本書を書かれたようです。

本書の書名は、国内の某大学院(MBA、中小企業診断士養成課程)に社会人入学・修了、中小企業診断士登録している私にとっては、引きつけられました。

著者は、日本のビジネススクールが、日本における企業や個人のニーズに合致しておらず、まったく機能していない。
また、海外トップスクールのMBAと日本のMBAの市場価値は大きな差があることを説明しています。
(ほとんどの日本企業はMBAの価値を認めていない。日本のMBAの「質」が低すぎる。)

ビジネススクールは本来、次世代リーダー候補生を鍛えるために、徹底的に考える訓練を行うべき場であるべきである。
具体的には、経営やビジネスに関する知識を詰め込む「入力」だけでなく、それを活かす「出力」する「実践の場(現場)」を提供すべきと主張しています。

また、専門職大学院では、論文執筆を修了要件として課していないことも多いが、論理的にものを考え、自分の主張を練り上げ、事実で証明し、自分の言葉で明晰に表現する思考のトレーニングのためにも、論文執筆を修了要件とすべきあることも述べています。

次世代リーダー育成の解決策として、現場のないビジネススクールではなく、企業内で経験と学習を繰り返す仕組みをつくることで、次世代リーダーを育成することを提案し、すでに実践されています。
過去のデータに基づいた机上の分析ではなく、物事を深く考え、全体を掴み、流れを読み、本質を見抜き、自分なりの最適解を導き出す、部分や個別ではなく、物事を構造的に捉え、全体像を見抜くことが必要であるというわけです。
仕事においても、企画や戦略という名称が付く部署だけでなく、日々のルーチン業務を確実、効率的に遂行することによって価値を創造している現場での地道な努力こそが、力をつける絶好の場であり、次世代リーダー育成のためにもそういった場が重要であるという主張です。

*著者がすでに実施している「次世代リーダー育成プログラム(NLDP:Next Leaders Development Program)」
企業内で、経営トップが直接関与した、課長などのミドル層を対象とした選抜幹部教育であり、経営陣に自社課題を解決するための提言をするもの。
具体的には、次の5つのステップによる次世代リーダーの社内育成。
①自社のビジネスモデルを理解する
②自社の経営課題を抽出する
③検討すべき自社課題を選択する
④具体的な解決策を検討する
⑤実行可能なアクションプランに落とし込む

なお、日本で国際認証を取得しているのは、慶応義塾大学と名古屋商科大学の2校のビジネススクールのみである背景についても説明しています。
日本のビジネススクールの多くは、取得のための膨大な英語での書類作成、実地検査、審査などの労力に対して、国際認証によって受験者が増加するなどのメリットが少ないため、国際認証取得に積極的ではない。
また、国内のビジネススクールは、大学基準協会などの国内の第三者認証評価機関による認証を受けなければならず、日本人相手に日本語で教育を実施しているのであれば、それで十分という考え方もあるというわけです。


本書についての私の考え方は次のとおりです。

ほとんどの日本企業は、MBAの価値を認めていないことは事実だと思います。
費用対効果を考えれば、割に合わないため、入学前に過剰な期待を抱かせることの批判も理解できます。
しかし、日常の仕事から離れる時間を設けて、自分の仕事についての全体像の把握、理論的整理をすること、ビジネススクールの同級生、卒業生など様々な業種・業態・立場で社会人経験を積んでおられる方とのつながりなど費用対効果がはかりにくい部分を考慮すると、自分がどこまでビジネススクールの場を活用するかによってその効果は大きく異なるのではないかと考えます。

ビジネススクールには、「出力」する「実践の場(現場)」がないということも理解できます。
知識の習得だけを考えるならば、ビジネススクールに通う必要はないと思っています。
また、ケース・ディスカッションは、ケースの成功事例の背後にある論理を理解することを目指して、先生や様々な社会経験を積んだ講義参加者での議論そのものに意義があると思いますが、「実践の場(現場)」には遠いと思います。
しかし、私が通っていた某大学院(MBA、中小企業診断士養成課程)では、実際の中小企業の経営診断実習(2年間で5社)が実施されており、中小企業診断士の第1次試験で学習した経営理論の知識を、大学院(MBA)の講義を通じて学び直し、その経営理論を経営診断実習を通じてどのように実践に活かしていくか、具体的には、経営課題の抽出、解決策の策定などについて、チームで議論して、まとめ、提案することは、「実践の場(現場)」であり、自分の能力を高めることに大きくつながたのではないかと思っています。

いずれにしても、本書は、国内のビジネススクールでの学び直しを検討されておられる方には、参考になると思います。
本書の内容も踏まえて、ご自身で入学の有無を意思決定いただければと思います。
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